多くの場合AWSを利用する際には、「EC2」と呼ばれるサービスを使うことになると思われます。さまざまな方法で応用可能なコンピューティング環境であるEC2ですが、その機能の基本や特徴を把握しておくと、より使いこなすことができるようになります。
こちらではそんなAWSにおけるEC2の基本事項を解説し、メリットや簡単な使い方をチェックしていきます。AWSを利用する予定があるのなら、合わせてEC2の魅力を確認してみることがおすすめです。
目次
そもそもAWSとは
AWSとは「Amazon Web Services」のことを指します。通販サイト大手として知られるAmazon.comが提供するウェブ上のクラウドコンピューティングシステムであるAWSは、さまざまな事業に快適なウェブ環境と効率化の土台を与えると評判です。
今やひとつのインフラとして機能しているクラウドコンピューティングを利用する際には、AWSが候補のひとつとして挙げられることになるでしょう。
Amazon.comが自社内で利用していたシステムが元になっていることから、AWSの実用性は非常に高いです。
MicrosoftやGoogleもクラウドコンピューティングを提供していますが、AWSはその中でも高いシェアを誇り、圧倒的な人気を持って世界に浸透しています。
高いシェア率=利用者が多いという図式が成り立つため、情報が豊富に出揃っているのもAWSの特徴です。
「クラウドコンピューティングをどう活かせばいいのか」「AWSの使い方でわからないことがある」といった疑問が解消しやすい点は、利用を始めるきっかけにもなるでしょう。
クラウドコンピューティングという存在はまだまだ専門性の高いものであるため、ときには使い方やトラブルの解決に迷うこともあり得ます。しかしAWSであれば開発者コミュニティや無料で参加できるオンラインセミナー、その他さまざまなWeb媒体から必要な情報を探し出せるのです。
もちろんAWSそのものでも充実したサポートが行われているので、クラウドコンピューティングの導入経験がない企業でも安心して利用を開始できるでしょう。事業拡大や効率化を求める中でクラウドコンピューティングが必要と判断される場合には、AWSの魅力をまずは確認することがおすすめされます。
EC2とは?初心者にもわかりやすく解説
EC2とは「Amazon Elastic Compute Cloud」の略称で、AWSで利用できるシステムのひとつとなっています。
AWS上に仮想サーバを構築して自由に利用できるのが特徴で、クラウド環境においてさまざまな役割を担ってくれる事でしょう。これまでデータセンターで物理的なサーバの構築を行っていたのが、Web上から数クリックで仮想サーバを構築することができるので、業務の効率化に寄与することが期待できます。
伸縮性や弾力性を意味するElasticという言葉通り、ユーザーの必要に応じてスペックを変更できるのがEC2の魅力です。継続利用時に起こりがちなスペック不足やディスク容量問題への対処も容易なコンピューティングキャパシティーであるため、長期的な運用も視野に入れることができます。
EC2では仮想サーバの事を「インスタンス」という単位で扱います。インスタンスにはさまざまな種類や性能のものがあるため、ユーザーの求める形で利用が可能です。複数使って仮想サーバを分割することで、可用性や信頼性を考慮した運用ができるでしょう。
インスタンスによって柔軟にWeb上のインフラ環境を構築することができるため、サーバの増強が必要になった場合や、さらなる効率化を求めて改善が行われる際にも、対応がしやすくなります。
さらにインスタンスはコピーも削除も簡単に行えるので、スピーディな業務レベルを維持可能です。新規でサービスを開発する場合などは、このインスタンスの特性を利用することで開発から公開までをスムーズに進めることができるでしょう。
仮想サーバではLinuxやWindowsといった標準的なOSが利用可能で、自動的にサーバの構築とインストールが行われるのも特徴です。またキーペアを使ったインスタンス専用のログイン情報は安全に管理され、利用者に余計な心配をかけさせません。
手軽かつ安全に使えるという心理的な利点も、AWSでEC2を利用する理由になるでしょう。
EC2のメリット
AWSのEC2を利用することで、ユーザーは以下のようなメリットを得ることができます。
- 簡単なスペック変更
- 従量課金によるコストメリット
- スピーディな構築による時間短縮
- 冗長化も簡単に行える
どれもが多くの企業に対して魅力的なメリットとなり、仮想サーバの運用における理想的なスタイルを模索することに役立つでしょう。
簡単なスペック変更
EC2最大の魅力は、サーバスペックの簡単な変更機能にあります。内容によって大きく変動する要求スペックに対して柔軟な変更が可能な点は、サーバの運用において大きなメリットになるでしょう。
サーバのスペック(CPUやメモリなど)も必要な台数も変更できるので、単純に容量を増やしたい場合も、機能を分割したい場合にも対応できます。
もし物理サーバでこれらの変更を行うとすれば、時間とコストが多大にかかることになるので、EC2の柔軟性には今後も価値が生まれることでしょう。仮想サーバを自動的に増減させるオートスケールという機能もあるので、突発的にサーバに負荷がかかることになってもある程度保てるのも魅力です。
従量課金によるコストメリット
EC2は基本的に従量課金制であるため、実際に利用した分に対して請求が行われます。
サーバ運用にかかるコストをカットしたいときには、不要なサーバを停止するといった対応をすることで利用時のコストメリットが大きくなります。短期間だけ仮想サーバを利用したい場合なども、EC2であればコスト重視の運用ができるでしょう。
EC2には下記の3つの料金形態が採用されていて、利用者はそれらから自由に選択することができます。利用頻度や目的によってお得な形態は変わるので、事前にそれぞれの特徴をチェックしておくこともおすすめです。
- オンデマンドインスタンス
サーバの利用時間によって料金が発生する従量課金のスタイルです。短時間や限られたタイミングでだけ利用したいときや、試しに仮想サーバの運用を始める際に適しています。 - リザーブドインスタンス
稼働時間を事前に設定して、料金を先に支払う方法です。常にインスタンスを利用したいが、予算はオーバーしたくないといったときに役立つでしょう。 - スポットインスタンス
AWS内で使われていないコンピューティングリソースをお得に利用する方法です。条件はありますが、最大で90%割引で利用できるため、コスト重視での利用を求める場合におすすめされます。
スピーディな構築による時間短縮
ハードウェア設定が必要な物理サーバを使う場合には、設定完了まで数日のタイムラグが発生することも珍しくありませんが、EC2によって構築されるシステムはわずか数分あれば立ち上げが完了します。そのためスピードが求められる事業においても、便利に利用することが可能です。
そういった仮想サーバの現状がある中で、圧倒的なスピードで環境を提供できるEC2の存在は、事業に明確なメリットを与えてくれるでしょう。
冗長化も簡単に行える
仮想サーバのテンプレート化や複製が容易であるため、事前に複数台数を用意することで安定したサーバ運用を実現できます。
冗長化によって負荷の分散を行ったり、システム上に障害が発生しても全体の環境を維持することが可能であるため、万が一に備えながらのサーバ運用が可能です。
EC2の使い方
EC2の使う際のセットアップは、以下のようになっています。
- AWSにサインアップする
- Amazon EC2コンソールから「Launch Instance (インスタンスの起動)」を選択
- 起動ウィザードに合わせて最初のインスタンスを立ち上げる
基本的な利用開始方法は以上となるので、慣れてくればスムーズに仮想サーバの応用も可能となるでしょう。
まとめ
AWSを利用するのなら、EC2の仮想サーバシステムにも目を向け、そのメリットを使いこなすことが勧められます。仮想サーバを利用することで、効率アップやサービスのさらなる拡大も現実となり得るのです。
Amazon.comが提供するクラウドサービスとコンピューティングリソースを活用して、新たな事業にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
EC2には無料枠も設けられているので、とりあえずその機能に触れてみることがおすすめです。