【目次】
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1. AWSとGCPの比較
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a) AWSとは
AWS とは、「Amazon Web Services」の略で、Amazon Web Services社が提供するクラウドコンピューティングサービスです。
AWSは2006年から開始されたサービスで、現在月間100万以上のアクティブカスタマーが利用しています。21のリージョン、66のアベイラビリティーゾーンを持ち世界190か国以上で利用されています。
国内での利用の事例としては、キリンホールディングスがコーポレートサイトやWeb会員サイトのITインフラ基盤をオンプレミス環境からAWSに移行し、月額のランニングコストを最大で25%削減した事例があります。
※リージョン…クラウドサービスで利用する、データセンターを設置している独立したエリア
※アベイラビリティーゾーン…AWSの各リージョンに存在するデータセンター
※オンプレミス…自分たちで情報システムを保有し、自分たちの設備によって運用すること
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b) GCPとは
GCPの正式名称は「Google Cloud Platform」で、Googleが提供するクラウドサービスです。PaaSであるGoogle App Engineを中心に、Google Compute Engine、Cloud Datastore、Big Queryなどをひとまとめに提供しています。
これらはGoogle社内で使われているものと同じテクノロジーやインフラで、そのままクラウド サービスとして提供しています。
■Google App Engineについて
Googleのインフラの上でアプリケーションを作り、実行できるようにするためのサービスです。■Google Compute Engineについて
時間あたりの課金で仮想マシンをレンタルすることができるサービスです。■Cloud Datastoreについて
NoSQLのデータベースサービス。アプリケーション開発が簡素化できるように構築されています。■Big Queryについて
企業向けデータウェアハウス。大量のデータを高速に処理し、データ分析が行えるサービスです。国内での利用の事例としては、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社がデータ分析の業務において作業時間の大半がデータの収集、変換、加工にとられてしまう状態を改善するためBigQueryを採用しています。
さらに、同社では2016年よりGCPを本格導入し複数アプリ・サービスの商用データ分析基盤を構築しています。
※仮想マシン…1台のコンピュータで複数のコンピュータを動かす技術
※NoSQL…SQL言語を使わずに、データの操作ができるデータベース
※データウェアハウス…データ分析や企業の意思決定に役立てるために、複数のシステムから必要なデータを収集し、目的別に再構成した統合データベース
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c) クラウドサービスとは
「クラウド(クラウドコンピューティング)」とは、クラウドサービス事業者がWeb上で提供するクラウドサービスプラットフォームから、インターネット経由でコンピューティング、データベース、ストレージ、アプリケーションをはじめとしたさまざまなITリソースを利用できる仕組みのことです。
代表的なクラウドサービスには、Amazonが提供する「Amazon Web Services」、Microsoftが提供する「Azure」、Googleが提供する「Google Cloud Platform」などがあります。
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2. AWS とGCPを比較してみよう!初心者にもわかりやすく解説
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a) リージョンの多さで選ぶならAWS
AWSのリージョン数は22です。リージョンとは、クラウドサービスで利用する、データセンターを設置している独立したエリアのことです。各リージョンに分けられたサーバーはそれぞれ同じサービスを提供しますが、お互いに干渉する事はないので1つのリージョンで何かトラブルが起こっても、他のリージョンは正常に稼働し続けます。
リージョン数が多いことのメリットは、ユーザーに近い距離のリージョンを選択しやすくなることです。一般的に、リージョンとユーザーの物理的な距離が遠いと通信速度が遅くなる可能性が高く、システムを利用するユーザーはストレスを感じやすくなってしまいます。
開発するシステムは主にどの地域のユーザーが使うことを想定しているのか考え、近いリージョンを選択する必要があります。
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b) 商用ライセンスのサポート範囲の広さならAWS
AWSは古くからサービス提供を行っていることもあり、商用ライセンスのサポート範囲が広くなっています。Oracleなど、商用の正式サポートが必須のサービスを利用する場合は、AWSを選択すると安心です。
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c) ドキュメントの豊富さならAWS
AWSは公式ドキュメントやクラウドサービス活用資料集が豊富で、日本語での情報も充実しています。有料サポートの質の高さにも定評がありわかりやすく調査しやすいクラウドサービスとなっています。
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d) ビッグデータ解析を使いたいならGCP
検索エンジンの会社であるGoogleは、ビッグデータ解析に大きな強みを持っています。通常、クラウドサービスを利用してビッグデータ解析を行う場合、計算リソースの追加やチューニングを自分で行う必要がありますが、GCPの場合はGoogleのデータセンター内のリソースが自動で割り当てられるため、ユーザーは計算リソースを気にする必要がありません。
※ビッグデータ…一般的なデータ管理・処理ソフトウェアで扱うことが困難なほど巨大で複雑なデータの集合。
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e) 仮想マシンの起動速度の速さで選ぶならGCP
GCPの仮想マシンの起動速度は約40秒と、大変速く起動できます。一般的なクラウドサービスが起動に3分程度かかるのに対して、圧倒的な速さです。
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3.まとめ
AWSとGCP、2つのクラウドサービスについて比較しながらご説明させて頂きました。
どのクラウドサービスも、それぞれ強みを持っているので自分が提供するサービスにとって大切な機能をもったもの、特に優れた性能を発揮するクラウドサービスを適切に選択することが、安定した高品質なサービスの提供につながるのではないでしょうか。
※下記のブログもご覧ください。
【クラウドとは?】初心者にもわかりやすく解説